食事で認知症を予防しましょう

 要介護高齢者の4割に認知症があるというデーターがあります。今回は食事が認知症を防ぐ事を説明いたします。高齢になると確かに物忘れは多くなりますが、この健忘症はごく自然な老化現象です。 認知症とは、老化に伴う脳の機能低下減少であり、アルツハイマー病にみられるように進行する病変です。また、脳血管性の病気も痴呆の原因となります。

 治療は、治せるものと治せないものがありますが、生活活動を阻害しない程度の進行予防治療もありますので、早期に専門医に受診することを勧めます。 特徴として初期に起こる『短期記憶の障害』には食事を作ることが効果的です。食事を作ることは短期記憶と昔覚えた料理方法(長期記憶)を頭で考え、手足を動かして作る事から、男性でも高齢になれば、『男の料理』も良いと思われます。

 しかしながら、介護度4・5で食事を自分自身でとれない方は、回りからの刺激も少なく、生きる意欲を失いがちで、認知症が進行していくばかりです。このような方に対するアプローチについて考えてみましょう。 医学を心ざした方なら1度は見たことのあるペンフィールドの図です。



 口から咀嚼してしっかり食べることで、感覚野の3割が活性化されます。さらに自分の手で口にはこんで食べることより、運動野の7割におよぶ部分を使うことになります。

 のど仏を右手でつまんで唾液をゴクンと飲み込んでみてください。のど仏は前上方にあがりますよね、そのときあがったままでのど仏を固定すると腹筋まで使っていることがわかります。あまり長くやると呼吸困難になりますから注意してください(笑)。ちょうどゴクンの『ゴク』で止めると、気管に蓋がされています。

 この食事から脳への刺激は、1日3回つまり年間1000回以上も脳を活性化しております。さらに、アルツハイマー病の原因であるβアミロイド蛋白を分解するサブスタンスPという物質は、口の反射機能と密接な関係があります。


 サブスタンスPの合成に深く関わるドーパミンが少なくなると、サブスタンスPも減ってきます。つまり、日常生活の中での刺激がサブスタンスPを作ります。たとえ、自分で動くことが出来ない方でも、日常的に歯みがきや食事また会話などで刺激を送り続けると脳は活性化するということです。

 では、食べることと脳の刺激について考えてみましょう。

【食べる前から脳への刺激は始まっている】


 美味しそうな盛りつけ・匂い・ご飯をつくる音・『ご飯が出来たよ』という声・これは『うまい』という味・今日の食事は前に行ったレストランで食べた料理と同じだ・どれから食べようか・誰と一緒に食べようか・美味しかった事を誰につたえようか、、、など美味しい食事は色々と脳を刺激します。当然咀嚼・唾液など口腔からの刺激も心地よい刺激として身体全体でかんじるでしょう。

【口から食べることで脳が活性化する】


『ああ美味しかった』と感じることは、前頭葉を刺激します。


口から食べる事で意識が向上してドーパミンも産生されます。

 このように、散歩も出来ない重度の要介護高齢者に対しては、おしゃべりをしたり、歯みがきをしてあげたり、美味しくて安全な食形態の食事を摂らせることで、副作用もない認知症予防ができると思われます。

 また、表情が悪い時や問題行動を起こすときには、便秘や水分摂取などの身体の状態の低下や生活活動に問題があることが多いと思われます。ちょうど、赤ちゃんが泣くのは、『食事(ミルク)』か『おもらし』のときですよね。こんなことも考えてあげてください。